ChatGPTを使って初めてメールを書く人は、最初の12回ほど、同じ問題に直面します。マーケティング部門のインターンが書いたようなメールになってしまうのです。少し親しげすぎ、少し長すぎます。うまく言葉にはできなくても、はっきりと感じ取れる微妙な違和感があります。
これは直せます。コツは、より良いプロンプトを探すことではなく、モデルの使い方を変えることです。AIによる下書きはワークフローであり、一度きりの依頼ではありません。ここでは、実際に機能するワークフローを紹介します。
ステップ1:丁寧な「こんにちは、メール作成を手伝ってもらえますか…」は省く
ChatGPTでメールの下書きを始めるときは、いきなり「メールを書いて」と頼まないでください。まず、自分の状況を貼り付けることから始めます。
次の2つの書き出しを比べてみましょう。
納期についてクライアントに送るメールを書いてください。
これに対して、次のように書きます。
私はプロジェクトマネージャーです。クライアントはタリンの代理店に勤める、親しみやすい一方で細部を重視するマーケティングディレクターです。私たちは6か月間、ウェブサイトの刷新に取り組んできました。本日ホームページを納品する予定でしたが、アナリティクス連携に重大な問題が見つかり、納品が3日遅れることになりました。クライアントは2日後から休暇に入ります。今すぐ状況を伝え、冷静で事態を掌握している印象を与えたいです。過度に謝罪せず、具体的な対応計画も提示したいと考えています。
2つ目のプロンプトでは、まだメールの作成を依頼していません。状況を説明しただけです。それだけでも、実際にメール作成を頼んだときの最初の下書きは格段に良くなります。
したがって、最初に身につけるべき習慣は、出力を求める前に状況を説明することです。
ステップ2:「メールを1通」ではなく複数案を求める
AIへの指示で最も過小評価されている言葉は「3つ」です。下書きを3つ、トーンを3種類、長さを3種類。最初に出てきた案をそのまま選ぶより、選択肢を比較する方が役に立ちます。
先ほどのプロンプトには、次のように続けると効果的です。
では、次の3種類の下書きを作成してください。
- 温かみがありながらプロフェッショナルな文面で、100語程度。
- 率直かつ簡潔な文面で、70語未満。
- より詳しい文面で、計画を短い箇条書きにして、150語程度。
それぞれ、明確な次のステップで締めくくってください。「お元気でお過ごしのことと存じます」で始めないでください。
ここで注目すべき点がいくつかあります。長さの上限は実際に重要な役割を果たします。指定しなければ、望んでいる長さの2倍ほどの文章が返ってきます。「お元気でお過ごしのことと存じます」を禁止する指示も効果的です。どのAIも、標準ではこのような文から始めがちだからです。また、「箇条書き」という制約により、自分で構成を書き出さなくても文章の形を整えられます。
3つの下書きを読めば、ほぼ必ず好みの案が明確になり、どの2文を直せばよいかも正確に分かります。
ステップ3:返ってきた文章を批評する
次に、モデルへ返信します。新しいプロンプトを書くのではなく、同じ会話の中で問題点を伝えてください。
バージョン2が最も近いです。冒頭の文を引き締め、「お待ちいただきありがとうございます」という一文は削除し、最後は2文ではなく1文にしてください。それ以外はそのままにしてください。
モデルは、双方が目の前で共有している下書きを編集します。モデルがすでにすべての文脈を把握しているため、最初からプロンプトをやり直すより速く、結果も良くなります。
同僚に対するよりも率直に伝えて構いません。モデルに感情はなく、傷つける心配もありません。「機械的に聞こえます。普通の人が書いたようにしてください」「謝罪は削ってください。私に落ち度はありません」「もっとくだけた表現にしてください。私たちは6か月間、互いにファーストネームで呼び合っています」。
批評した後、モデルに尋ねると役立つ質問があります。「一般的な読者は、この文章からどのようなトーンを感じますか」。その回答から、下書きが意図どおりに受け取られるかを判断できます。
ステップ4:AIらしさを取り除く
AIが書いたメールだと見抜かれる特徴は5つあります。下書きに次のいずれかがあれば、置き換えてください。
- 「お元気でお過ごしのことと存じます」 このような話し方をする人はいません。要件から始めましょう。
- 「…についてご連絡させていただきました」 削りましょう。伝えたいことをそのまま書いてください。
- 「ご辛抱とご理解に感謝いたします」 中身のない表現です。具体的な内容に置き換えるか、削除してください。
- 「ご不明な点がございましたら、お知らせください」 いつでも当てはまりますが、役には立ちません。代わりに、具体的な次のステップで締めくくりましょう。
- 至る所に長いダッシュがあり、文が完璧に釣り合い、段落の長さが不自然なほどそろっている。 AIが書く文章は、しばしば整いすぎています。リズムに変化をつけましょう。
これらを一度に取り除くには、次のプロンプトが便利です。
普通の人が書いたように聞こえる文章に編集してください。AIが書くメールの冒頭らしい表現はすべて削除してください。文の長さに変化をつけてください。意味と構成は維持してください。
この工程を終えれば、ほとんどの場合、AIらしさを感じさせないメールになります。
ステップ5:繰り返し使うパターンを保存する
仕事上のメールの多くは、少数の定型パターンに当てはまります。
- 丁寧に断る
- 丁寧に催促する(1回目、2回目、3回目)
- 納期に遅れたことを謝罪する
- 手配内容を確認する
- 相手の気分を害さずに依頼へ異議を唱える
- 尋問のような印象を与えず、答えにくい質問をする
AIで下書きを始めて1~2週間もすれば、それぞれのパターンで気に入った表現がいくつか見つかります。それらを保存してください。Custom GPT、Claude Project、パスワードマネージャーのメモ、Notionページなど、場所はどこでも構いません。同じパターンが次に出てきたら、保存した表現を貼り付け、そこから始めます。これを繰り返すたびに、作業の反復は短くなります。
簡単な例を見てみましょう。気に入った「丁寧な催促」メールを数通作成したら、モデルへの指示を保存します。
「丁寧な催促」メールを依頼したときは、必ず次のルールに従ってください。
- 1段落、3~4文にする。
- 再度の連絡について謝罪しない。
- 前回の依頼を送った具体的な日付に触れる。
- 明確ながら柔らかい期限(「金曜日でいかがでしょうか」)で締めくくる。
- トーンは温かく、堅苦しくしない。元のスレッドの言語と文体に合わせる。
これで、「丁寧な催促です。スレッドはこちらです」と言うだけで、モデルは意図を理解し、最初から使える文章を生成します。
AIが特に役立つ状況
AIを使うと特に時間を節約できるメールがいくつかあります。
難しい会話。 解雇の通知、契約の終了、昇給の依頼、関係を壊さずに苦情を伝えること、かつての友人からの依頼を断ること。こうしたメッセージで手が止まる理由は、言葉が見つからないからではなく、そもそも下書きを開くことが難しいからです。3つの下書きがあれば、5分で編集して送信できます。
あまり頻繁には書かない言語。 エストニアに住んでいて、相手に応じて流暢なエストニア語、ドイツ語、英語で顧客への返信を書く必要がある場合、AIの方が速く、たいてい正確です。言語上の誤りは起こり得るため、必ず注意深く読んでください。それでも、最初の下書きで節約できる時間は膨大です。
何度も書き直しているスレッド。 4回書いては削除している文章なら、何でも該当します。途中まで書いた内容を貼り付け、「この文章がうまく伝わらない原因は何ですか。もっと自信のある自分なら、ここをどう書きますか」と尋ねます。表現を変えるだけで、行き詰まりが解消することもあります。
技術に詳しくない人への長い技術説明。 誠実で分かりやすい文章を作るには時間がかかります。対象読者を伝えれば、AIはその読者向けに要点をまとめることを得意とします。
AIを使わない方がよいもの
よく知っている相手に送る、心からの温かい個人的なメッセージです。洗練された文章よりも、手書きのような感触の方が大切です。AIで下書きしたお悔やみや誕生日のメッセージは、どれほどプロンプトを工夫しても、どこか微妙なずれを感じさせます。自分で書きましょう。
後で相手の目を見て、その言葉が本心だったと言える必要のあるものも同様です。AIは速く書くためのツールであって、何を伝えたいかを決めるためのものではありません。
ワークフロー全体を一文で
状況を説明し、3つの案を求め、同じ会話の中で批評し、AIらしさを取り除き、パターンを保存します。5つのステップで、2回目からは90秒で済みます。習慣になれば、未処理のメールはもうたまりません。



